『回想の野口晴哉・朴歯の下駄』
野口晴哉という人がどんな人だったのか、当時の様子がイキイキと描かれています。
そして、昭子さんがどんなにきめ細やかに野口晴哉氏を見つめていたのかが伝わってきてジーンとします。
どのエピソードも魅力的なのですが、ひとつ紹介します。
ある日、玄関に包丁を持った男が上がり込んできたそうです。
「ここは俺たちの縄張りだ、何で挨拶に来ないのか」
と怒鳴って、畳に包丁をグサリと突き立てて凄んだそうです。
野口晴哉氏がでてきて、咄嗟に
「この手が離れない、離そうとするとギューっと包丁を握ってしまう、離してみたまえ」
と言ったら、離れなくなってしまった。
「この尻も畳にくっついてしまう。立とうとすればするほど、ピタッと畳にくっついてしまう。さあ、立ってみたまえ」
と言うと、本当に立てない。
それを見ていた奥さんが
「それは催眠術の一種なの?」
「私も修行して出来るようになりたい」
と言うと、野口晴哉氏は意外な返事をしたと書いてあります。
「修行なんて無駄なことさ。みんなお互いに暗示しあって、相手を金縛りにしているじゃないか、自分もまた自分を金縛りにしているじゃないか。人間はもっと自由なはずなんだ。だから僕のやってきたことは、人を金縛りにすることではない。すでに金縛りになっているものを、どうやって解くかということだ。暗示からの解放だよ。」
この野口晴哉の言葉が胸に残っています。
先日、街行く人を見ていて、この言葉を思い出しました。
競い合うようにみな仏頂面で、お互いがお互いを縛りあって、自分ひとりだけが幸せでニコニコするなんてことがないように牽制しあっているように感じたからです。
なんていうか、もう止めにした方がいいなぁと思ったのです。
誰もがもっともっと自由に、自分自身になっていければいいと思います。
どんなに自由になってもタガが外れる心配はなくて、調和に向かっていくだけだと思っています。


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